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再配達はなぜ有料化されないのか?(1)問題の直視と認定の難しさ

業界トピック

[画像などコンテンツの一部はAIによって作成されています]

こんにちは、配達員のeveryです。

このページを開いてくださり、誠にありがとうございます!

【再配達の有料化】とは、「再配達の削減」や「人手不足」「効率化」という宅配業界が抱える問題の「改善策のひとつ」として、おもに私たち配達側が俎上にあげているテーマですよね。

【再配達の有料化】に関しては、ちょっと考えただけなら「有効そうな改善策」のようにも思えますが、しかし具体的に踏み込もうとすると「有料化」の実現には「高いハードル」がいくつもあることが容易に想像できます。

今回はこの【再配達有料化】の可否や是非について考え、(1)前編(2)中編(3)後編 の3部に分けて、皆様と共有していこうと思います。

再配達はなぜ発生し、誰が損をしているのか?

【再配達】は【置き配】が100%の韓国には存在しない概念らしいのですが、日本の宅配便で働いている我々からすると、日常茶飯事に起きている「無駄」「損失」の象徴的な現象ですよね。

この【再配達】のほとんどは「対面配達で受け取り側が不在」だったり「宅配ボックス投入なのに宅配ボックスに入らない」などという結果が原因になっていると思います。

そしてこれは【対面型の配達】をある程度の期間にわたって継続したことのある方なら共感していただけると思いますが、その特徴としては「同じ人が繰り返す傾向にある」ということが言えるのではないでしょうか。

つまり、同じ発送側が「受け取り側が不在な時間」を指定(たとえば午前中を指定)していたり、受け取れないサイズで発送したり、同じ受け取り側が不在を繰り返したりすることで、再配達が一定数起こり続けるという現状があると感じています。

このように再配達が繰り返されると、配達側からすれば「追加でかかった時間や経費は追加で負担してほしい」「でも再配達って無料だもんねと思うのが正直なところですよね。

そしてその結果、改善方法のひとつとして「じゃぁ再配達は有料にしたら減るんじゃないか?」と考えるようになるわけです。

ただし、これについては運輸会社の経営側・正社員・委託ドライバーのそれぞれの想いには温度差があるのかもしれません。というのも、

経営側からすると「再配達経費の負担は現在わが社(+委託ドライバー)がしているが、これをお客様にお願いすれば、競争力の低下につながるかも」という危惧があるでしょうから、「メリットは理解しつつデメリットが恐い」という感じじゃないかと思いますし、

正社員からすれば再配達の燃料代は自分には関係なく「残業時間と給与が比例関係」ということになります。

●しかし私のような委託ドライバーには残業代もガソリン代も支給されるわけではありませんから、まちがいなく「自分が負担する経費」であり、無料での再配達が大きな問題になるわけです。

つまり再配達の有料化がもしも可能だとしたとき、

経営側:メリットは理解できるがデメリットが懸念されるので迷う

正社員:時間が増えるメリットと給与が下がるデメリットが予想されるので何とも・・・

委託ドライバー:メリットしかないので是非進めてほしい

・・・と、このように配達側でも立場によってメリット・デメリットのとらえ方がちがってくるでしょう。

【再配達の有料化】という話題が最近あまり表に出てこない裏には、このような「温度差」も関係しているのかもしれません。

第1ハードル:通販業界にできてしまっていた「送料無料」の常識

さて【再配達の有料化】の難しさのベースに存在するのが、大手の通販会社で広く使われていた「送料無料」というキャッチコピーではないでしょうか。

このような価値観が通販の流通の中で広く使われていたため、配達料金を意識させる方法が敬遠されてきたのでしょう。

大手の通販会社は運送会社にとっては最重要の顧客のひとつですから、そこがOKを出さない方法を運送会社がとれるわけはありません。

でも本当は「送料無料」なのではなく「商品の金額に送料は含まれています」なんですよね。

そして何より、売るときにはショップ側が「送料無料!」と言っていたのに、運送側が「再配達は有料!」と言ってしまうと、お客様は「ダマされた!」と思うでしょうし、ショップの信用も損ねてしまう事態になってしまいます。

このような現状を受けて、2023年末から2024年にかけ、消費者庁は「送料無料」という表現が「輸送にはコストがかからない」という誤解を消費者に与え、再配達の増加やドライバーの低賃金の一因になっているとして、表示の改善を求めました。

現在では、Amazon、楽天、LINEヤフーなどの大手モールや、ファンケルなどの通販各社が、サイト上の説明文に「送料を無料とする仕組み(表示価格に含まれている等)」を明記し始めたり、文言を「送料当社負担」へ変更したりしています。

・・・ここはやや改善がすすんでいるんですね!

第2ハードル:認定の難しさ

では仮に第1ハードルがなんとかクリヤーできたとして・・・実際に再配達の料金を請求しようとすると、まずは【再配達】と認定するための【定義】がはっきりしていなければなりませんよね。

2回目以降の配達が「翌日以降」となればこれはまちがいなく【再配達】だと思いますが、国交省が定義している【再配達】というのは、何をして【再配達】とカウントしているのでしょうか?(現在問い合わせ中)

1度でも【不在→持ち戻り】という結果をアプリに入力したあとの配達はすべて【再配達】なんでしょうか?

「実態調査」のうえでは【初回で配達】と【再配達】の2つに分けるだけでいいと思いますが、実際に「有料化」するとなると、お客様が「納得できる状況」と、それにふさわしい「差額の根拠」が必要になりますよね。

初回の配達で「不在」とか「BOXに入らない」とか結果を入力して現場を離れたわずか1分後に、お客様から「ごめん、風呂入ってて出られなかったww」なんて連絡があって戻ったときも【再配達】になるんでしょうか?

それで【再配達料金】とかお願いしたら即クレームになりそうですよねww

逆にお客様の申し出で「当日夜に1回目の再配達」をしようが、配達側の都合で「翌日に1回目の再配達」しようが、一度営業所に戻るのであればかかる経費(おもに燃料費と人件費と、運送会社倉庫の家賃など固定費)はほとんど変わらないでしょうから、そこで料金が変わるというのも考えてみればしっくりきませんし。

これらはさらに「再配達1回と再配達4回では金額の差を設定するのか」なんていう制度設計にもかかわってくるはずです。

たとえば時間指定のない荷物を、

午前中の枠で1回訪問して【不在1回目】
①14時-16時の枠で1回訪問して【不在2回目】(再配達1回目)
②16時-18時の枠で1回訪問して【不在3回目】(再配達2回目)
③18時-20時の枠で1回訪問して【不在4回目】(再配達3回目)
④19時-21時の枠で1回訪問して【配達完了】(再配達4回目)

・・・などという【高密度で再訪問】を繰り返して、「再配達が1日に4回で、24%割り増しです」とか、お客様に納得されるはずありませんしね。

このハードルは面倒ではありますが、ただし運送会社側ではっきりとルールを決め、あらかじめお客様にキチンと周知するならば可能ではあると思います。

第3ハードル:原因の不明瞭さ

本当に面倒なのは、おそらくここからです。

再配達の経費を請求したところで、請求された側は自分の側に再配達の原因を認めないかぎり、支払いに応じてくれるわけはありませんよね?

実はこの問題には、原因や責任を取るべき側が誰なのかがが「ハッキリしている場合」と「あやふやな場合」があるんです。

【ハッキリしている場合】

●日時指定のある荷物で、配達側が遅配したため受け取り側が不在になった(配達側が原因)

●受け取り側自身が発送するとき、受け取り側は着荷の日時を指定しながら不在だった(受け取り側発送側が原因

●受け取り側自身が発送するとき、自分の宅配ボックスに入らないサイズなのに、宅配ボックスを指定した(受け取り側=発送側が原因

・・・このような場合は、それぞれのケースで原因を作った側が再配達の経費を負担する、で納得できるかと思います。

しかし次のような場合はどうでしょうか?

【あやふやな場合】

●発送側が受け取り側の都合を確認せずに送ったため、受け取り側が不在だった(→発送側が原因でよい?それとも配達員や受付の社員?)

●ショッピングサイトで「宅配ボックス」を指定したが、すでに他の荷物で塞がっていてボックスやポストに投入できなかった(→ボックスやポストが塞がったのは誰が原因?

●運送会社で「定型」として発売しているポスト投函専用の箱で送ったが、サイズオーバーでポストに投入できなかった(→荷物のサイズオーバーは発送側が原因?運送会社が原因?発送側はどうやって『受け入れ可能なサイズ』を確認する?) 

さらにはこんなケースも想定されますね。

●ネットショッピングで注文する際、受け取り側が受け取りの日時や方法を設定できなかった(→ネットショップのシステムが原因?

●置き配の指定だったが、風雨などで指定場所に置けなかった(→風雨は誰が原因?→配達側には被害をカバーする義務がある?

●ひとつの配達で再配達が複数回に重なったとき、それぞれの回の原因が異なるとき(→たとえば1回目は発送側が勝手に日時を指定して荷物を送ったために受け取り側の不在で再配達となり、その後受け取り側が日時指定をしたが不在になってしまい2度目の再配達となった、など原因が複数あ場合もある

・・・これらのような場合、誰が再配達料金を負担するべきなのか、簡単には決められないですよね?

この「再配達の原因」だけでもかなり面倒そうですよね。

そしてここに「請求」「支払い」などが絡むと、さらに【有料化】の難しさが痛感できるんですが、そちらについては次回の『②支払いの難しさと競争原理』の方で詳しく説明します。

◆再配達はなぜ有料化されないのか?(2)支払いの難しさと競争原理

宅配便での出来事やお悩みは、こちらのマンガで共有することもできます。

・・・疲れた体と心にどうぞ!

ここまでお読みくださり、誠にありがとうございました!

この記事を書いた人
every

現役で宅配便の配達員をやっているeveryです。
相棒はスズキのH26年型エブリイ。
配達員の実践経験にもとづいて、スムーズな荷物の受け取り方法を提案しています。

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