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再配達はなぜ有料化されないのか?(2)支払いの難しさと競争原理

業界トピック

こんにちは、配達員のeveryです。

「再配達はなぜ有料化されないのか?」という疑問について、前回に引き続き考察を進めていきたいと思います。

今回は『(2)支払いの難しさと競争原理』と題して、支払いにまつわる「仕組み」のハードル「トラブル」というハードル、そして「他社との競合」という最終的なハードルについて深掘りしていきます。

※前回までのお話(第1ハードル~第3ハードル)についてはこちら↓

◆再配達はなぜ有料化されないのか?(1)問題の直視と認定の難しさ

第4ハードル:請求と支払いの難しさ

さて仮に、前回紹介させていただいた【原因があやふやな場合】でもなんとか「負担すべき側」を確定できたとして、どのような形で再配達の料金を支払うのかも面倒そうです。

というのも、宅配便には【荷主(たいていは発送側)】と【受け取り人】という立場のほかに【購入者】という立場があり、ここに【後払い】【先払い】という「支払いのタイミング」や【現金払い】【キャッシュレス支払い】という「支払い方法」の選択肢が絡んでくるため、支払いの状況がけっこう多様なんですね。

ここではまず問題を整理するために、2択である「支払いのタイミング」の【後払い】【先払い】に分けて確認を始めてみましょう。

さて再配達が確定してから払う【後払い】はどうでしょうか?・・・すると以下のような疑問が浮かんできました。

●配達の現場で現金で追加料金を支払うのか?(→受け取り側に現金の持ち合わせがないときは?)

●現金決済ができない場合を想定し、クレジット決済やコード決済の端末を装備する(→委託の配達員まで全員装備できるか?

●再配達が対面ではなく置き配や宅配ボックスなどの「非対面」だった場合、どのように請求するのか?(→非対面であとからどのように支払うのか?)

このように【後払い】にはかなり問題がありそうなので【先払い】へ発想を変えてみたとしましょう。

再配達料金の【先払い】ができるのは、請求先が「発送」や「購入」に関わっている場で、それは【荷主】か【購入者】なのですが、【購入者】が同時に【受け取り人】である場合もあります。

こういった場合は、再配達が生じたときの経費分をあらかじめ発送時または購入時に支払っておき、再配達が発生しなかった場合は過分な金額を返金する、という【プリペイド方式】が適切なような気がします。

しかしそうすると返金の方法はどうするのか?という問題が持ち上がってきますよね。

●「返金を対面で行わなければならない」となると【後払い】のときと同様に「非対面で配達完了」したときに「対面できない」という問題が生じる。

●メンバーポイントに換算しての返金が簡単だが、メンバー以外の場合や、メンバーでも荷物を送らない方にはポイントのメリットがない

・・・などという問題点があります。またプリペイドにできたとしても、

●コレクトだけは後払いになる(プリペイドにはできない)

・・・という状況は避けられないでしょう。

・・・と、現在の日本のようにキャッシュレス化が中途半端な状況では、配達形態と支払い形態の組み合わせが煩雑で、配達側にも荷主側にも受け取り側にも大きな負担を強いることが予想されます。

全国民がスマホ1台で何でも決済できる状況であれば、このハードルは乗り越えやすいだろうとは思いますが、現状ではまだ困難なのでしょうね。

第5ハードル:「受け取り拒否!」の発生?

さらには再配達料金を請求したときに、お客様との間でのトラブルも予想されます。

単純に「追加料金なんて、持ち合わせていません!」と拒否されるケースも想定されます。

たとえば荷物が「お試し無料」ということで、【ポストに投函】で送られてきた試供品だったとしましょう。

これが受け取り人様のポストには入らないサイズだったために持ち戻りになり、その方へ【再配達料】が請求されたとしたらどうでしょうか?

「無料じゃなかったら、要らない!」なんてことになりませんか?

またコレクト(代引き)の場合もリスクが高いのではないかと推測します。

ショッピングサイトですでに決済をした荷物であれば、お客様は【商品代金】と【配達基本料】を支払ってしまっているので、商品を受け取らないという選択にはなりづらいと思います。

しかしコレクト(代引き)の場合、お客様はまだ【商品代金】も【配達基本料】も支払っていないわけですから、【再配達料金】が加算されることに納得がいかなければ「じゃあ今回その品物は要りませんから!」と、【受け取り拒否】に発展するリスクも出てきますよね。

最終ハードル:他社との競合力と大口契約

さてさて、これまで述べてきたように5つもの「ハードル」を乗り越えて、ようやく【再配達有料化の仕組み】ができたとしましょう。

しかし結局はそのような「新方式に変更して有料化」するのか、それとも「従来の方式で無料再配達」を続けるのかは、それぞれの運送会社の判断にゆだねられています。

そしてその判断はもちろん「競争力」や「継続性」を維持したうえで、必要な「利益」を生み出していけるかどうか、そして将来に向けて発展していけるかどうかにかかっています。

このとき我々が表からは見ることのできない形で、企業の競争力に影響力を与えている要素があり、それが【再配達の有料化】を妨げているかなり大きな要因になっているのではないかと私は推測しています。

それはおそらく「大口契約」とか「包括契約」などと呼ばれるものではないでしょうか。

これはたとえばお中元やお歳暮などの季節のギフトや超人気の予約商品など、特定の期日に一斉発送される荷物を指します。

これらの荷物はたいてい一斉に【対面配達】【指定なし】または【対面配達】【午前指定】で発送されることから、個々の受け取り人の都合など確認せず発送側が一斉に情報処理をして発送していることが推測されます。

あくまで推測ですが、これらの荷物は受注のときに荷主と運送会社との間で、荷物を個々ではなく「大口の一括=割引料金での契約」がされており、これが荷主からすれば【価格上のメリット】となり、運送会社からすれば【競争力を形作る要素】になっているのではないでしょうか。

当然その契約時には【再配達】など配慮されているわけはなく「1200個配達して●●万円」というような形式であり、ここに「再配達は別料金で」のような細々とした条件を差しはさむ余地はないものと思われます。

もし【再配達の有料化】を表立って実現するとなれば、この大口契約についても再配達を有料化せざるを得なくなり、契約交渉時の大きな「足枷(あしかせ)」になってしまうリスクが予想されます。

大手の運送会社が再配達の有料化に踏み切らない裏には、このような大口契約へのデメリットを深刻なものとして受け止めている背景が潜んでいるのかもしれません(あくまで推測です)。

こういった「最終ハードル」が越えられる、つまり「他社に先んじて自社が新方式に変えても競争力は落ちない」という見通しがなければ、企業はわざわざリスクを冒す行動(ここでは再配達の有料化という新方式)はとらないはずです。

・・・さて、ここからは、ちょっと未来に目を向けてみましょう。

再配達の主因「対面配達」は永遠に不滅です!

【再配達】のほとんどは「置き配ではない環境」で起こっており、そこで「再配達の発生に配慮せず発送する側」や「再配達の発生に気付かない(または無頓着な)受け取り側」によって、しばしば繰り返されている事象だと思います。

では冒頭で紹介したような韓国と同様に「100%置き配」になればよいのでしょうか?

これについては、日本には「お歳暮」「お中元」のように「贈答」の文化が色濃く残っていますから、韓国のように100%置き配になることはないでしょう。

またPUDOのような宅配ロッカーや、さらにそれを大規模にした「受け取りステーション(仮称)」があったとしても、それを利用する人と「追加料金を払ってでも個宅に配達してほしい」という人とに別れていくと思います。

たとえば、対向車のヘッドライトがギラつく雨の強い夜更けに、老眼の始まった女性がひとりで歩いたり自動車を運転したりして荷物をとりに行くのは、なかなか厳しいでしょう。

そんなときに「対面配達」というサービスは、「受け取りステーションにまとめて置き配」や「戸別に置き配」などに対して「ワンランク上の選択肢」として残り続けるはずです。

ですから「対面配達」がうまくいかなかったときの「再配達」も、今より少なくなるでしょうが残るのだと推測します。

いかにハードルが高くても「常識の更新」は必要

ここまで述べたように【再配達が生じるシステム】は簡単になくならないと思いますし、【再配達有料化】にはいくつもの高いハードルが待ち受けているんですが、それでも私はどこかの時点で有料化は行われるべきだと考えています。

いかにハードルが高かろうとも、
「何も考えずに対面配達で発送」
「当たり前に不在で持ち戻り」
「必然的な結果として再配達」
・・・という燃料や労力のムダな消耗は、「エネルギー自給率10%台」そして「外国人労働者がいないと人手不足」の日本が、このまま放置するべきではない問題なのではないでしょうか。

そしてその改善方法も必ずあると信じています。

結論【再配達の有料化】は、必然性は高くても現時点での実現は困難?

私個人としては【再配達の有料化】はぜひ実現してほしい課題なのですが、こうして現状を検証してみると、実現は【かなり難しい課題】だということがわかってきました。

しかしまったく不可能な課題でもありませんし、中東の紛争による「エネルギー輸送の目詰まり」が、国内外の産業に負の影響を与えている現実もありますから、政府が主導したり関連業界が足並みをそろえて「えいッ」と変革を行うには「悪くない環境」になってきている、と考えることもできます。

第1ハードル(送料無料という商習慣の見直し)だけでもかなり高かったはずですが、行政の音頭取りで改善は進んでいますし、超大手のAmazonが「送料込み」と「送料別」を併存させているわけですから、諦めることもないのではないでしょうか。

・・・ちょっと業界の勉強でもしてみましょうか!(笑)

◆◆◆◆◆

いかがでしたでしょうか?

なかなかハードルの高い課題ですが、私はさらにここから【再配達有料化】のしくみについての試案をつくってみたいと思いますので、できましたらまたお読みいただければと思います。

◆再配達はなぜ有料化されないのか?(1)問題の直視と認定の難しさ

◆再配達はなぜ有料化されないのか?(3)実現可能な仕組みに向けて(予定)

最後までお読みいただき、誠にありがとうございました!

この記事を書いた人
every

現役で宅配便の配達員をやっているeveryです。
相棒はスズキのH26年型エブリイ。
配達員の実践経験にもとづいて、スムーズな荷物の受け取り方法を提案しています。

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